「私も東京に行きたかった・・・」
「何か事情あった?」
「うち、両親がコンビニやってたんです。でも、上手くいかなくて・・・」
「そっかぁ・・・」
「それで人手に渡しちゃって、借金とか凄く残っちゃって・・・」
コンビニ業界も熾烈だというのは感じてたんだが、話を聞いてると想像以上に大変な業界だ。あのての商売の怖さは、アルバイトの管理とか、仕入れとか、そういうのはあるにしても、一番ヤバイのは、近くにコンビニできちゃうとか、道路が整備されちゃうとか、ひとりでに商売の環境が変わってしまうってことだろうな。そういう事例は結構あるみたいで、おねえちゃんの実家の場合は、近くに2店舗もコンビニが開店しちまって客足がガタッと落ちたことが原因らしかった。

「だから、私が地元にちゃんと就職しないと、と思って・・・」
「そうなんだ・・・それで証券会社にね」
「成績はまぁまぁだったんで、銀行も受けたんですけどお給料が良かったから・・・」
「でもさ、証券は大変だよ。いまはいいけどね」
「先日もそう言われてましたね」
「そう、長く勤められる職場じゃないだろうし・・・」
「そうですか・・・」
「まぁ、あまり言わないけど。君の選択だから」
「結構落ち込むことも多くて・・・」
「営業だからな。どんな仕事も大変だけど」
「そうよ。銀行もつまらないよ。すぐにセクハラされちゃうし。ケラケラ」
「そういえば○○さんも・・・」
「そう、でもね、地方じゃあまり選択の余地もないしね」
「どうして辞められたんですか?」

「私はセクハラとパワハラかな。歳も結構行ってたしね。あまり言うこと聞かなかったからお局とか言われてたし・・・」
「それで相談受けたのがきっかけだったな」
「そうだったよね。私、ほら、目立つからすぐに・・・」
そういうと、デカチチは胸を持ち上げて見せた。女同士なんで遠慮がない(苦笑)
「Fとかですか?」
「FとかGとか・・・ケラケラ」
「羨ましいですぅ。私、全然ないから・・・」
「ないほうがいいのよ。肩こらないし。じゃまなんだから。ケラケラ」
女同士の会話には、俺は割って入れんからな。ニヤニヤしながら聞き手にまわってたんだ。そうしたら、「そろそろ」と言って彼女が立ち上がった。けれど、フラフラでバランスを崩しちゃって、ソファーにもたれてしまったのよ。

「あれ?ちょっと飲みすぎちゃったかな?」と言うと「大丈夫です」と言いながら、立ち上がろうとした彼女をデカチチが制した。
「ねぇ、今夜泊っちゃえば?それじゃ帰れないでしょ。ケラケラ」
「えっ!でも、そういうわけに行きませんから・・・」
「どうして?ちゃんと家に連絡すれば大丈夫でしょ」
「でも、帰れますから・・・」
「駄目よ。何かあったら私たちも困るもの。だったら、泊った方がお互い安心でしょう?」
「でも、何の用意もしてないし・・・」
「そんなの、大丈夫よ。なんなら下着も貸しちゃうよ。ケラケラ」
「え~ぇ、でも・・・」
「いいから、ほら、電話して」

そう言われてシブシブ実家の両親に電話したら、意外にあっさりと了解されたらしく、また元気な笑顔に戻ったよ。
「じゃ、ちょっと休んだらお風呂入って。酔いがちょっと醒めるかも」
「いいんですか?」
「もちろん。お風呂入らないで寝るの、いやでしょ。メイクも落とさないとね」
「下着は?着替える?」

「着替えてきたんで大丈夫だと思います」
「そう、じゃパジャマ貸してあげる。着てないのあるから」
「ありがとうございます」

なんと、この家の初めての宿泊客は、野村のおねえちゃんってことになっちまった次第。

「どこで寝てもらう?」
「私のベッドで。私は師匠のベッドかな。ごめんなさい、師匠は今夜だけソファーでもいいですか?」
「もちろん。俺が隣に寝るわけにはいかんからな」
「ごめんなさいね」
「かまわないさ、全然」
「でも、あの子、いい子だよね。私、気に入っちゃった。ケラケラ」
「ああ、素直だしな」
女同士、あれこれ話しながら彼女は11時にはベッドで寝付いたような。
ディスプレイに向かってカチャカチャブログを書き出したら、デカチチが片付けを終わって珈琲を持ってきた。

「師匠・・・きっと娘さんのこと、思い出してたでしょ?目が父親の目だった」
「ああ、どうしてもな・・・」
「いつか、今夜みたいに食事できるといいですね。私はいなくてもいいけれど」
「そうだなぁ・・・いつか、な」
「でも、不思議だよね。他人同士こうして仲良くなれるのに・・・」
「そうだな・・・」
「だって三人とも他人だから・・・」
そう言いながらデカチチは涙を浮かべてた。
でもな、こうして毎日を過ごしていると、ますます娘たちから距離が遠くなってゆく。もしかしたら・・・もう、一生手が届かないのかもしれない。
俺が落ち着いてしまえばしまうほど、デカチチとの距離が近くなるにつれて・・・。

娘たちは今頃、どんな思いでいるんだろう?もう、いつだって、いくらだって、助けてあげられるようになったのに・・・。いままでのこと、償うことだってできるかもしれないのに・・・。
急に胸が苦しくなってきて、これ以上書けなくなってしまった。
 

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