居での生活もはや2カ月あまり経って、ようやく慣れてきた、というか自分の住まいみたいな感覚を持てるようになった。デカチチはいろいろと内装に凝ったりして、家事に専念。働きたい意思もあるようだけど、俺がオヤジや親せき筋の老人たちのケアが忙しくなっちまって、移住計画を1年先延ばしにしたこともあって、少し落ち着いて生活しないと、と言ってくれてる。

個人投資家として何とかなりそうな気はしてきたものの、職業として一生やっていくには自信もなく、やはり相場と四六時中向き合うというのは消耗が激し過ぎる気がするんで・・・。なんとか次の仕事を見つけないと、ということで俺自身、少し焦りもあるしな。そういう意味では、T君IT企業からの情報は今の俺にとっては結構貴重なんだよな。
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そういうわけで、久しぶりに、3年ぶりくらいにT君と飲む機会を得た。T君夫妻を自宅に招いて、改めてデカチチも紹介していろいろ話をしながら飲めた昨夜は本当に楽しかった。

T君の細君は昔の俺の会社の社員だったんで、久しぶりに懐かしかった。結構可愛がった社員で、右も左もわからない美大出の女子にWEB関連の仕事を教えたんだが・・・最終的には結構戦力になったものだ。
程なくしてもう結構な年頃だったM子に、冗談半分でT君を紹介したのは俺だったんだよ。それが、水面下で本当に交際を始めて、結婚式の招待状をもらった時にはちょっとビックリだった。もちろん主賓で挨拶したんだが、新郎新婦双方の主賓が俺だったんで、挨拶も常識を逸脱したトークになったが、社員たちがいろいろ趣向を凝らした演出をしてとても評判がよかった気がする。

昨日の夕方には夫妻そろって差し入れを山ほど抱えてきてくれた。
挨拶もそこそこに、デカチチを紹介して和やかに酒宴になった。
「社長、お元気でしたか?ちょっと心配してたんですよ。いろいろあったし・・・」
「なんとかな。死なずに済んだよ」
「止めてくださいよ。そんなこというの。私、絶対に死なせませんよ」
「おいおい、俺はもう社長じゃないんだぜ」
「私の中では社長は社長なんですから・・・」
「元気でやってるか?」
「お陰さまで」

M子とは本当にいろいろあった。娘のように俺に懐いてくれたし、俺もなんとか一人前にと、結構力を入れてたしな。もっとも社員も結構かかえていたので、付ききりと言うわけにはいかなかったが・・・。それでも、残業が終わって挨拶のために社長室に立ち寄ると、いろいろな人生相談を受けたりもした。あまり裕福な家ではなかったらしく、給料の大部分を家に入れていたM子は、年頃の娘にもかかわらず、身なりも質素だった。

「私、この会社に入れて、死なずにすんだんですよ」
入社して1年程たってそんなことを話してくれた。
「おだやかじゃないなぁ・・・」
貧しく苦しかった学生時代のこと、兄弟の不幸、両親への不信感、そして失恋や詐欺で騙されたこと。ようやく恋人を見つけて交際を始めた半年後に、彼氏が交通事故で植物人間になってしまい、その時に自分の他にも交際相手が二人もいたと知って失意から自殺未遂を起こしたことなどなど。本当に不幸を一身に背負っているようなそんな女性だった。
世間にはそういうことって本当に有り得るんだ、と俺も思ったよ。そして、そういうことをひとしきり相談すると、少しだけ笑顔になって退社する、というのがいつものパターンだった。

「あのね、きっと人生は山あり谷ありでさ。谷が先にあるなら、次は山がある。平らな人もいるけれど、起伏の激しい人生もある。M子はさ、俺と同じようなもので、起伏のある人生なんだよ。ただそれだけのことさ。でもな、起伏あった方が、きっと死ぬ間際に楽しかったって思えるさ」
そういうと、「本当ですか?本当にそうなる?」って聞き返してくる。「俺が、保証するよ」っていうと、パッと笑顔になった。

一度会社の飲み会があって、その時にも挨拶が一通り終わると、M子が隣に来た。
「まぁまぁ、ここに座って」
と俺が言うと、「失礼します」と言って御酌をしてくれた。
「社長、今日は合同なので人数凄いですねぇ・・・」
「そうだな。150人くらい来てるのかな」
「もっと来てますよ。私なんか初めての人ばかりで」
「3社合同だからな。たまにはいいだろう?」
「そういえばTさんも見えてましたよ。」
「ああ、さっき挨拶に来てくれた」
「なんか、凄く盛り上がってますよ、あの辺は」
「だな・・・・」
「この後、幹部で二次会ですか?」
「かなぁ・・・。行くとすれば○○の店かなぁ・・・」
「○○って、高級クラブでしょう?」
「一応この辺ではそういうことになってるかな」
「え~~っ、社長、私も連れてってくださいよぉ・・・」
「行きたいの?」
「いきたい!」
「わかった。いい子にしてろよ」
「やったーーーーっ!」

普段は飲まない俺だが、どうしても接待やらなにやらでキープしておかないといけない店ってのがある。たまたま知り合いに連れていかれた時、俺がギターを披露してママと意気投合したのがきっかけで使うようになった。そして接待以外に年に一度は慰労の意味で取引先や幹部を連れて行ったわけ。

実際、この店でヘボ議員とかいろいろな付き合いもできたしな。地元のその筋の親分とかとも知り合いになったんだよ(苦笑)ちなみに、流石に親分と呼ばれる人間は、そこそこ立派なもんだって見直したんだ。飲み方も綺麗だが、レベルの高い会話も十分にできる。あれで、(人相の良くない)若い衆を連れてなければ普通に付き合えると思ったくらいだからな。

そして幹部10名とT君M子を連れて行ったその晩も、親分が来たんだよ。それで、俺のところに寄ってきて、「少ししたら俺の席にきてよ。ママと飲んでるから。今夜はプライベートだから気にせずに」と。まぁ、そんな挨拶されたら行かないわけにもいかないから、挨拶を返しておこうということで、伺うと、俺の横にちゃっかりとM子が・・・・。
「おいおい、君は来なくていいよ」
「まぁまぁ、どこのお嬢さん?」
「いやいや、親分、うちの社員ですよ」
「そうかい。まぁ、いいや。座って飲んで行きな」
「親分・・・苦笑」
「社長、もしかして、怖い人?」
「おいおい!」
「って、ヤクザですか?」
酔いも手伝ってか、M子は明け透けに、しかも面と向かって親分の前で・・・
「お嬢さん、怖いの?」
「ううん、全然。思ったより優しそうな人だから怖く有りませんよ」
そういうと、親分、満面の笑み
「ママ、お嬢に何かフルーツとか出してや」
そのあと、M子の怖いもの知らずの振る舞いですっかり場が盛り上がってしまって、親分は上機嫌だったな。

「あのときはね、俺もどうなることかと思ってチラ見してたんですよ」
T君が思い出して言った。
「M子は世間知らずだったからなぁ・・・」
「え~~っ?だって怖くなかったし・・・」
「あの後も親分と何度かあったけど、そのたびにお嬢はいっしょじゃないの?って聞かれたからな」
「そうだったんですか」
「そうそう。世が世なら、今頃M子は親分の情婦だったかもよ」
「え~~~っ!?」

久しぶりに楽しい酒になった。デカチチM子と仲良くなれてよかった。女二人が並んでキッチンに立つ光景って、凄くいい感じだったよ。
T君の会社もなんとかなりそうだし、上場の色気も出てきてるみたいだった。
「その時は社長、いろいろよろしくお願いします」
「社長じゃないって」
「俺にとっても社長は社長ですよ。困った時何もできずに、本当に済みませんでした」
「ば~か、誰がお前に頼るかい!」
「ははは、社長らしいや 笑」
 

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